彼女の人生に色はあった…ただその色は闇よりも、ドス黒かった

彼女の人生に色はあった…ただその色は闇よりも、ドス黒かった

(あの日語られ無かった過去)

私が生まれたのは確か、紀元前33年ごろかな…

あぁ、みんな狐っていうわけじゃ無いよ?人間と狐の子孫さ、私もね。

普通の狐みたいな色だった一族の中でさ、いきなり白い狐が生まれたのはかなり異端だったんだろうねぇ。

すぐさま閉じ込められてさ、拷問受けたよ。

斬られ、殴られ、蹴られ、石を投げられたりもしたかな?

後は、無理矢理純潔を奪われそうになってねぇ…

(手から炎を出す)

その時にね、“コレ”に目覚めたんだよ。

…日本じゃないのにって?

どうしてだろうねぇ、分かんないや。

それと、抵抗してからはもっと酷くなったね。

………拷問と言うより、殺しにかかって来てたなぁ、今更だけど。

首を絞められたり、高所から落とされて、足と腕の骨折られて、首を斬られそうになった事もあったかな?

家族?

居たよ、お母さんとお兄ちゃんそれに妹の四人、お父さんは死んだって。

死因?

お母さんを食い殺したなぁ

餓死寸前でさ。

酷い味だったよ?

それと、お兄ちゃんは集落を滅ぼした時に巻き込まれて、妹は自殺だったかな…

え、なんで壊れなかったのか?って?

『あの子』がいたからだよ

梅花椿っていう子。

どこにもいない?いるさ、秘密だけど。

挙げ句の果てにさ、

(服を捲り上げる、その下には余りにも痛々しい火傷のような跡があった)

これ、焼かれたんだよ?

綺麗にしてやるとか言って…

ま、傷跡は大体消えたかもだけど。

それで、慰み者にされる寸前にさ

本当、あんな汚らしいモン見せやがって…

“もういいや”って思って、

気づけば自分だけが立っていてさ、

周りは火と惨たらしい“生き物だったモノがあって、分かったんだ。

自分が殺したんだって。

お兄ちゃんも死んでたよ。

倒壊に巻き込まれたか、燃え死んだのか…

なんでか分かんないけど泣いたねぇ…

愛着があったのかな?

一応生まれ故郷だし

……全部メチャクチャになったよ。


その後?

全部聞いたらキリがないからおしまい…早く眠りな、なんで夜に聞いたんだ?

気になったから?

馬鹿正直だねぇ。

『好奇心は猫を殺す。』

狐に喰われても知らないよ?

それじゃ、お休み。





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